お医者さん

大腸がんの治療中は、がんによる症状だけでなく、治療による副作用も現れます。
ここでは、主に現れる副作用の説明と、治療中に行ないたい生活習慣や食生活について解説します。

大腸がん(直腸がん)は下痢や肛門の炎症が起こりやすい

お腹を抑える男性

放射線治療で起こる下痢や肛門の炎症の副作用対策 

大腸がんの放射線治療で主に現れる副作用といえば、放射線腸炎による下痢です。
大腸がんの放射線治療では、がんが転移しやすい骨盤内リンパ節を含め、広範囲に照射を行ないます。
その際に放射線が腸粘膜細胞に影響を与えてしまい、下痢を引き起こす腸炎が発症してしまうのです。

また、直腸がんの場合は、直腸や肛門が放射線によって炎症を起こすことがあります。
排便時に強い痛みを伴うことがあるため、注意が必要です。
病院では、この下痢や痛みへの対策をしっかりと行ないます。
放射線腸炎で引き起こされる下痢には下痢止めを処方し、肛門や直腸の痛みには痛み止めを使用するのです。

抗がん剤治療による下痢のセルフケア方法
  • 下痢による脱水症状を回避するため、水分補給をこまめにする
  • カイロや衣服でお腹を温め、血行を促進させて痛みを軽減させる
  • お腹への圧迫を避けるため、ベルトを締めずにゆったりした服を着る
  • だるさを感じた場合は、無理をせずに休息をとる
  • 腸に負担や刺激を与える食べ物を避ける
    (カフェインの多い飲み物、お酒、乳製品、食物繊維の多い食べ物、脂っこい食べ物、辛い食べ物など)
  • 温かく、消化がいい食事を中心に摂る
    (おかゆ、豆腐、うどん、バナナ、茶碗蒸し、薄い味噌汁など)

放射線治療の後に後遺症が現れることがある

悩む男性

晩期の副作用について

放射線治療の副作用は、治療中や治療直後に現れるものばかりではありません。
放射線治療を受けて、半年から数年後に副作用が現れる場合もあるのです。

時間をおいて発症する副作用は、晩期(ばんき)の副作用と呼ばれます。
現れやすい症状として、白血球や血小板減少などを引き起こす骨髄抑制や、血管の周囲に浮腫ができる間質障害が挙げられます。

胃腸器官

腹部・骨盤へ照射したときに起こる晩期障害の症状

晩期障害は急性期に現れる障害よりも、重篤な症状が現れやすいので注意が必要です。
大腸がんの放射線治療を受けた場合ですと、腹部や骨盤周りを中心に晩期障害が現れます。

影響が現れる場所 症状
直腸・結腸 潰瘍ができることでの痛み、出血
膀胱 膀胱壁の硬化、萎縮、血尿
卵巣・睾丸 不妊
腎臓・肝臓 臓器機能の低下

最新研究で分かった!運動療法が抗がん剤による副作用を緩和する!? 

案内する女医

メカニズムは解明されていないが、
期待できるかもしれない

放射線治療や化学療法は、人によって症状に差はあるものの、必ず副作用が現れます。この副作用について、治療を受けることに不安を感じる人も多いでしょう。そんな人に朗報なのが、アメリカのロチェスター大学で行なわれた、がん治療の副作用を抑える研究についての情報です。ロチェスター大学では、抗がん剤投与によって現れる痛みを、特殊な運動プログラムによって抑えるという研究を行ないました。その結果、詳しいメカニズムは分からないものの、運動によって痛みを抑えられることが実証されたのです。誰でも必ず痛みを改善できるというわけではありませんが、日本でこの運動プログラムが導入された場合は、治療を受けてみてもよいでしょう。

ジョギングする男性

運動は
QOLを高めてくれる

がんの治療中に運動を行なうと、治療の効果が損なわれるのでは、と考える人もいるでしょう。しかし、ある動物実験では、運動させることで抗がん剤の効果が下がることはないという実験結果も出ています。高い治療効果が得られるというデータはまだ得られていませんが、適切な運動を行なうことで、体調維持やQOL(生活の質)が高まります。

また、理学療法に基づく適切な運動を行なうことで、がん治療でのストレスを解消することができます。ストレスはがん治療の効果にも影響を与える要素です。適度なスポーツを行なうことで、がん治療でも高い効果が得られるでしょう。

中年男女と若い女性

安全な運動を
行なうポイント

がんの治療中にスポーツを行なう場合、体の状態に合わせた運動をすることがポイント。治療中の患者さんは、通院や入院によるストレスや、生活リズムの変化、さらには治療による影響で体力が衰えていることがあります。いつも通りにスポーツを行なうと、かえって体に大きな負担を与えることになるため、注意が必要なのです。自分の体力に合わせてスポーツを行なう場合、担当医や看護師にきちんと相談することで、負担の少ない適切なスポーツの方法を教えてくれます。また、高齢の人や、骨や筋肉に異常がある人、関節炎や末梢神経炎を患っている人は、スポーツを行なうと転倒して怪我を負うリスクも高いため、気をつけなければなりません。そういった人の場合は、サポートを行なってくれる人と一緒にスポーツを行なうとよいでしょう。

加工肉と赤身肉は発がんリスクがある!?

がんの治療中は、食べるものにも気をつけましょう。特に気をつける必要があるのが、お肉です。スーパーでは新鮮な赤身肉や加工肉などが陳列されていますが、実はこれらのお肉には発がん性があるといわれているのです。WHOの組織であるIARC(国際がん研究機関)では、赤身肉と加工肉を以下のように分類しました。

加工肉 
				赤身肉

このIARCの分類は、発がん性の強さではなく、あくまで発がんを促す根拠が確かかどうかを示すものです。つまり、口にしたからといって誰もが必ずがんにかかるというわけではありません。あまり神経質になる必要はありませんが、だからといって毎日大量に食べ続けるのも問題です。がんの治療中であれば、なるべく控えるに越したことはないでしょう。